くさなぎ井戸端会・・・軽度発達障害啓蒙活動を通して見えてきたこと

〜特別支援教育〜

 

 さて、平成19年4月より特別支援教育(特別な支援を必要とする幼児・児童・生徒の教育ニーズに応え

一人一人の能力や可能性を伸ばすために、さまざまな手だてを用いて適切な教育を行うこと)がスタート

して、軽度発達障害という言葉をよく目や耳にするようになって来ましたが、皆さんはいかがでしょうか?

私が今、感じることは、

 

 

1.「発達障害」という言葉だけがひとり歩きしているように思うのです。

  それは、障害名をステレオタイプで捉えている人が多いということです。どういうことかと言うと、

  たとえば、LD=「読み・書き・計算が苦手」、ADHDは「多動」「不注意」「衝動的」

  アスペルガー症候群「対人関係が苦手」「人の気持ちや、皮肉・冗談を理解するのが苦手」

  そういうものなのだとして捉えています。しかし、障害名が同じだからといって、みんながみん

  な同じ状態を示すわけでもないのが発達障害なのです。

  同じ個人でさえ「環境」や「年齢」によって抱える課題の困難さに変化が出るものなのです。

 

 

2.発達障害の実態理解や指導・支援方法についても、まだまだ誤解されている面も多いよ

  うです。

  たとえば、クラスでは”問題児”扱いをされるADHD傾向のある少年は、思ったことをそのまま

  口にし、衝動的に行動するため、いつも友達と衝突します。授業中もじっとできないし、忘れ物

  も多い。本人にしてみれば、なぜ自分は望ましい言動・対応ができないのか?みんなとうまく付

  き合えないのか?と苦しみます。教師がADHDを知っていれば、本人に効果的な指示を出し

  つつ、また、周囲の子供たちへの指導も可能ですが、そういった知識がなければ、少年は叱

  られ続け、「問題行動ばかり取る子」のレッテルを張られることになり「自分は、何をやっても

  ダメな人間なんだ」と自己肯定感が低くなるばかりです。結果、二次障害として、うつや引きこ

  もりなど二次的な課題にも苦しむようになりがちなのです。

 

  では、教師や周囲の人は、どのような視点を持ったら、発達障害の理解に近づくことが出来る

  のでしょうか?

      人間の感覚や認知の仕方や学習スタイルは様々であるということ。

     繰り返しの教育的訓練が必要であること。

      発達障害は成長の遅れでなく、偏りである。

       (人と比べて出来ない事もたくさんあるけれど、他の人よりも良く出来るものもある)

  という視点を持つことだと思います。

  

そこで、発達障害とは、診断名で判断するのではなく、一人一人の子供がどう感

  じ、どう困っているのか、と子供の気持ちに近付く事が大切なのだと思います。

  まなざしを子供において心に寄り添うオーダーメイドの支援・子育てです。手間隙

  かけての支援・子育てです。これらはどの子どもにも言えることですが、さらに

  特別な支援を必要とする子どもには、周囲の人が理解に近付く気持ちを持つ事

  が、大切になると考えます。まずは、一人一人の親が、視点を変え子どもへの

  まなざしを変えていくことが必要かと思います。

 

 

3.一般の親の軽度発達障害への関心が薄いです。

  幼稚園の保護者、26人を対象に講座を持ったときのことです。『発達障害』という言葉も聞い

  たことがないという人が半分以上、『発達障害』とは何かを知らなかった人は20人ほどでした。

  聞いた事もなければ、そういうことがあることさえ知らなかったということなのです。関心が薄い

  のは、「わが子のことではないと思っていたし、周囲にも思い当たらなかった。」と言います。

  際に幼児では見分けづらい事もあるのでしょうが、児童になると、クラスでの活動を通して困難

  な課題がでてきたり行動において表れとして出てくるころで目立ってきます。そうして初めて、関

  心を持ち始めると言うこともあるのでしょう。

 

 

4.『特別支援教育の意味』は殆ど伝わっていないのではないでしょうか。

  平成19年4月より特別支援教育が始まりましたが、地域や学校においてその取り組み方や進

  み方は一様でなく、『特別支援教育』と言う言葉から「特別なる支援を必要とする子に対しての

  特別な支援なのだから、うちの子には関係ない」と思われがちであり、正しい理解を広げていく

  ことが大切だと感じています。

  特別支援教育は、「特別な支援を必要とする幼児・児童・生徒の教育ニーズに応え、一人一人

  の能力や可能性を伸ばすために、さまざまな手だてを用いて適切な教育を行うこと」です。

  発達障害を含めて、多様な教育的ニーズを持つすべての子供たちを指導するというのが、

  平成19年度から全国の小中学校で一斉に導入された特別支援教育です。

  そのためには、学校・教師は、学級運営を見直し、指導法を工夫する必要がでてきます。

  ですから、『特別支援教育』とは、障害があろうとなかろうと、

        実はすべての子供たちにとって安心で安全で

          効果的な学びを提供することにもつながる教育なのです。

  特別支援教育を「診断名からの新たな障害のレッテル貼り」になったり「障害児排除の手段」に

  ならないためにも『特別支援教育の意味』が正しく理解され導入されていくよう、まずは、子を持

  つ一人一人の親の理解と関心を高めていく必要があると感じます。」

 

 

5.まだまだ実際に聞こえてくる声です。

『クラスに発達障害を持つ子どもがいると・・・』ということに対する、

先生一般の親発達障害を持つ子の親の3者の思い

 

  先生

           「発達障害を持つ子どもがいると、さらに学級運営が大変になるのかなぁ。」(不安)

 

  一般の親

          「何であの子ばかりを特別扱いするの?みんなの勉強が遅れちゃうわ。」(無理解)  

 

  当事者の親

           「周囲の理解がないんだから、どうせ、何を言ってもわかってもらえないわ。」(あきらめ)

  

  このような思いを発想転換出来るように、更に、学校、行政、保護者への正しい理解への働き

  かけをしていかなければならないと感じています。

  そして、近い将来、各々がこう思えるようになったら豊かな子育てが出来ていくと信じています。

  先生

    「発達障害を持つ子どもがいることで、子ども同士の関わり方や相手への思いやりなど

     の心の教育や指導が出来るチャンスだ。」

 

  一般の親

   「いろんなお友達と学ぶことが経験となって、我が子も成長していけるのだな。」

 

  当事者の親

   「この子の困り感をきっと理解してくれると信じて、どうしたら伝わるのか、受け止めてもら

    えるのか、工夫しながら、周囲の理解をつなげて行こう。」

 

 

では、発達障害とはなんでしょう?