待ってろ!!ロックン!!

〜ピンチを楽しむ〜

 

先日、私と太郎吉とセシリアは、3人でサイクリングを楽しみました。

お父さんは自転車を持っていないため、『みんなの後を走ってついて行く!』と言いましたが、太郎吉が

「無理〜」セシリアが「無茶〜」私が「やだ〜」の声に素直にお家でお留守番。

 

さて、出発の準備です。自分のおにぎりは自分でむすびました。私とセシリアは2個ずつ。

太郎吉は3個です。凍らした麦茶と、おにぎりを持って、自転車に空気を入れて出発です。

 

今日のサイクリングのテーマは、『公園を探そう!!』です。先頭は交代で走ります。

公園を探し、たどり着いたら少し遊んで、出発するときは、先頭を次の人にバトンタッチします。

家を出てから2時間で、5箇所の公園を見つけました。

1つ目は、「きのこ公園」。2つ目は、「えんぴつ公園」。3つ目は、「ひょうたん公園」。4つめは、

「何でも公園」(いろいろな遊具があったから)。5つ目は、「何にも公園」(何にも無い公園だったから)。

とそれぞれの特徴を捉え名前をつけました。

 

5つ目の「何にも公園」に着いたときです。

太郎吉が悲壮な声で、「な、な、ないっ・・・ロックンが居ない・・」と叫ぶのでした。

「だれ?」「ロッ君て? 何もん?」と私とセシリア。

それからが太郎吉の大騒ぎ。のた打ち回って悔しがり、当り散らして、叫びまくって、最後に自分を責めて

落ち着くのです。いつものことなので、慣れたもの。その間は私もセシリアも黙って見ていました。

落ち着いた頃に「ロッ君って、どなた?」

と尋ねれば、自転車の鍵につけておいた、岩のマスコットのキーホルダーだと・・。(富士山こどもの国の

キャラクターです)

すかさずセシリアが「あ〜、あの灰色のね。道路と同じ色だから見つからないよ。あきらめな。」

(うっ・・・さすが、いさぎよいと言うか、あきらめがあまりにも早いセシリアの言葉だ・・・)

「うるさい。探すぞ。さ〜帰るよ。」と太郎吉。

「エ〜、今着いたばっかりで、まだ遊んでないよ〜。遊ぼうよ〜。」とセシリア。

「いや、帰る。お母さん一緒に見つけてね。」と太郎吉。

「セシリア、仕方ない。又来よう!帰りの目的が出来てよかったじゃない。帰りのテーマは『ロックンを

探そう!!』どう? 楽しくなってきたよ。」と私。

「あはは、楽しそう。行こう!!」とセシリア。

 

でたらめに初めて来た道の、記憶をたどって帰ります。

「あっ、あそこだ。あの垣根。ほうきを逆さにしたようなのあったよ。」と太郎吉が言えば、

「あっ、小さなイヌ(小型犬)の声だ。ここを通ったよ。」とセシリア。

五感と記憶を頼りに帰るのです。子どもが意外としっかりとポイントを抑えている事に驚きました。

私はといえば、「へ〜、大きなお家が多いのね・・・あっ、売土地だって。坪いくら?」などと、しょうもない

事を考えて来たため為、さっぱり来た道がわかりません。

しまいには、太郎吉に「もうお母さんはいいから、道路の上だけ見てついて来て!!」と指令され

「はい、はい。」と付いて行くことに。

 

4つめの「何でも公園」に着いたときには、すっかりおなかも減り、ここでおにぎりを食べることにしました。

太郎吉は気もそぞろで、おにぎりを落とすやら、お茶をこぼすやら・・・3個持ってきたおにぎりのうち2個を

食べて、1個は持って帰ることにしたのです。「さあ、行こう。」と慌てる太郎吉に

「まだ食べ終わってない!!」とセシリア。そして、

「おにいちゃん、ロックン今頃、車に吹っ飛ばされて、飛んでっちゃったよ。もう、あきらめようよ〜。」

と悪魔の囁き。「いや、ある。絶対に見つけてみせる!!」と太郎吉。

 

日頃から物をとても大切にする太郎吉にとって、自分の不注意で物をなくすと言う事は絶対に許されない

ことなのです。物にも、魂があると信じている太郎吉は、落としてしまったロックンに対して申し訳なく思っ

ているのです。

「本当にあると信じているんだね。そんなに、真剣なら、お母さんは最後まで付き合うよ。」

「うん。」

「まずは、もう一度、戦略会議だ。ここまで来る中で、おやっ?と思ったり、一瞬違った感じがした時は

なかった?落ち着いてよく思い出して。心に聴いてみて。思い返してみてごらん?太郎吉なら出来るよ。」

しばらくすると顔を上げた太郎吉が「・・・お母さん行こう!!」と目を輝かせていったのでした。

その瞬間、「あっ、これは見つかるな。」と思いました。しかし、相変わらずセシリアは

「おにいちゃん、ロックンは恨んじゃいないよ。あきらめたほうがましだよ〜本当に見つかると思っている

の〜?」と悪魔の呟き。

 

そして、3つ目の「ひょうたん公園」に着くや、「ここにあるっ!!」と叫んで、いちもくさんに太郎吉は公園の

奥に走りこんでいったのです。数秒後、「あった。あったよ、ほら、あった!!」の声。

駆けつけると、ロックンを大事そうに両手のひらに包み込むようにして差し出したのです。

そこにあるのは、まさしくロックンでした。どことなく、ガッツ石松さんに似た可愛らしいロックンの姿です。

セシリアも、太郎吉の“あきらめない“根性を見直したのか

「さすが、お兄ちゃんだよね〜。私なら、『まあ〜いっか〜。』で、すぐあきらめて探しもしないよ。」

私が「太郎吉は、物をとても大切にしているんだよ。それに、セシリアは、あきらめて探しもしないという

以前に、無くした事にも気付かないでしょ?あははっ。」とチクリと言うと

「ああ、そりゃそうだ〜、あっはっはっは〜」と豪快に笑い飛ばすのでした。(ダメだ、こりゃ・・)

 

いずれにしても、今回はたくさんのことを経験できたのです。

ピンチを楽しみながら、こどもたちの持つ素晴らしい力を再確認したのでした。

最後まで真剣に誠実に取り組んだ太郎吉にありがとう。

どんな時も明るく楽しめるセシリアにありがとう。

 

 ピンチを楽しむプラス回路のしくみ

悲しみ・悔しさ・情けなさは怒りに姿を変えると、やがて落ち込みを選択します。それが自己否定となり

勇気をくじく要因となります。そこで、落ち込んでいても仕方がないと自分に勇気づけを与えると。。。

早期に思考を変換することは行動を変換し、あきらめない信念が生まれます。

自分を信じると建設的な行動ができ、発見を呼び、喜びと達成感を得ることができます。

これが自己肯定感となります。

 

太郎吉はキーホルダーをなくし、「のた打ち回って悔しがり、当り散らして、叫びまくって、最後に自分を

責めて、落ち着く」の間にこの変換を行っていたのですね。